9月議会一般質問 「不登校」対策に関する府中市の取組について

2025年4月に学びの多様化学校を設置する予定であり、既に保護者向けの説明会も開催されました。不登校の児童・生徒の困難さに対しては様々な教育や福祉の支援が必要ですが、不登校の児童・生徒だけでなく、全ての児童・生徒の学校生活での困難を受け止め、どの子どもたちにも希望が持てる教育の在り方が求められると考え、一般質問をしました。

学校に行けない、行かない児童生徒が急増しています。府中市でも「不登校」の児童生徒は増加し、2022年度は市立中学校11校で約380名という報告がありました。2016年に成立した「教育機会確保法」により、「不登校」の児童生徒に対して、特別の教育課程で教育を行なえることになり、それを受けて府中市では、2025年4月に中学生を対象に各学年10名、定員30名の「学びの多様化学校」の設置を進めています。
「不登校」の状態に合わせて「適切な学び」を保障していくとしていますが、子どもたちの困難に対する解決になるかという疑問があり質問しました。

「学びの多様化学校」について、今年5月に保護者向けの説明会が開催され、多くの参加がありました。「私立中学校から入室できるのか」「入室して通えなくなったらどうなるのか」「教員の体制は?」「成績のつけ方は?」など、保護者から多くの質問がありましたが、市からは「検討中」という回答が繰り返されました。具体的な学校のカリキュラムなども示されず、一般質問でも明確な答弁はありませんでした。
一方、対象の生徒については入退室検討委員会の判断で「生活リズムの改善や他者とのコミュニケーションを図ろうとする意欲があり、登校できる生徒なら入室を認める」ということです。子どもたちの登校や意欲を条件とせず、柔軟に対応すべきと訴えました。生徒に心の負担を与えることは公教育として問題です。

「不登校」に至らずとも学校にはさまざまな悩みで苦しむ子どもたちがたくさんいます。子どもが気軽に相談できる体制が必要です。府中市はスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーといった専門職の配置は十分とはいえません。子どもを中心に置き、教員と専門職が同じ場で情報を共有していくことが、今まさに求められています。府中市は東京都の予算を使って専門職の配置をしていますが、市としての積極的な予算措置を求めました。
学校が子どもたちにとってのびのび過ごせる場所になるよう、通常学校のあり方を変える学校改革が最重要課題です。「学びの多様化」で学ぶ場を分けるよりまず、「多様性を認め合う学校」としていくことこそが教育行政が進めるべきことです。

不登校対策は学びの場を多様化していくことではなくて、根本は、児童・生徒が通っている今の学校を変えていくことです。市には、
・教育の場の多様化ではなく、多様性のある学校を目指してください。
・そのために、子ども、教職員、地域による対話のある学校づくりを構築してください。
・教育長が答弁されました学校教育の目指す姿として、登校という結果のみを目標にするものではない、そのことを通常の学校でも学びの多様化学校でも実践してください。
・子どもが悩んだり困ったりしたときに確実に支援ができるよう、教育環境の整備として、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなどの専門職の配置の拡充を市独自の政策として早急に取り組んでください。

と要望しました。

学びの多様化学校開設は来年の4月です。その運用から、府中市の小・中学校全ての学びの在り方の改革につながるような視点で検証し、これから府中における不登校対策を、未然防止を重点に置いた取組で行っていくことを求めて一般質問を終わりました。