6月議会一般質問「女性福祉の構築を求めて」

困難な問題を抱える女性の支援に関する法律(女性支援新法)が今年4月1日に施行されました。

これまでの女性支援は、1956年に制定された売春防止法を根拠に、女性の保護更生を目的としていましたが、女性支援新法には、DV被害者を含め、さまざまな困難を抱える女性に対して、人権の尊重や多様な支援に対象を広げることが明確にされ、行政と民間の協働による当事者への伴走型支援体制の構築を謳っています。

自治体の役割も明記され、困難な問題を抱える女性への必要な施策を講じるための計画が求められる中、府中市では、今年度、ジェンダーと人権の教育である「デートDV防止講座」の中学校での取り組みは行なわないことになりました。

デートDV予防講座受講をすべての中学生に

デートDVとは、交際中のカップルの中で起きる暴力であり、身体的暴力、束縛するなどの精神的暴力、借りたお金を返さないなどの経済的暴力もあります。

さいたま市では、2020年に高校生と大学生に「デートDVに関する意識・実態調査」を行なっています。身体的暴力への認知度は高い一方で、暴力への認識が固定化し、精神的暴力や経済的暴力などの認識が低く、暴力の本質への理解が進んでおらず、暴力の認識が不十分な場合、デートDVの被害経験、加害経験ともリスクが増加する傾向にあるという見解が公表されています。

内閣府の「交際相手からの暴力の被害経験」の調査結果によると、交際相手から、このような被害を受けたことがある女性は22%(5人に1人)、男性は12%(10人に1人)です。

DV防止の啓発と被害当事者の支援を行なっている「NPO法人DV防止ながさき」は、2004年度から、デートDV防止のための出前授業を行なっていますが、授業を受けた中学生へのアンケート結果などをまとめたブックレットによると、予防啓発の授業は、交際を始める以前から早期に行なう必要性があり、交際の低年齢化を考えると、中学生からの早期啓発授業を行なうことでデートDVを未然に防ぐ効果が期待されると示されています。暴力根絶に向けた市の人権教育のデートDV予防講座を市内すべての中学生が受けられるよう、学校への働きかけを積極的に行なっていっていくよう要望しました。

「NPO法人DV防止ながさき」作成のブックレット

女性支援法の施行により府中市で展開していく施策は?

女性支援法では、「女性は女性であることで、男性とは異なった内容や程度で困難に直面する。性暴力や性的虐待、性的搾取、などの被害に遭遇しやすい状況におかれ、予期せぬ妊娠など女性特有の問題がある。不安定な就労状況や経済的困窮などに陥る恐れがある」と指摘しています。

女性だからこそ、こうむりやすい被害に対して、これまで行政は「売春防止法」の非常に狭い枠内で限られた予算と人員で対応せざるを得なかった。女性への支援が、福祉として位置付けられてきませんでしたが、新たな女性支援法で、女性福祉の実現が期待されています。

府中市は、関係機関を構成員とした本市独自の「支援調整会議」を設置し、女性への相談体制や支援体制を強化していくとのことですが、まずは困難を抱えた女性にとって信頼できる相談窓口を整えていくことが必要で、そのためには相談窓口となっている男女共同参画センター「フチュール」の相談体制の強化が求められます。当事者への伴走型支援の実現に向けて、庁内各部署への意識啓発と、女性支援への予算の確保を求めました。

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